リトルリーグ肩はなぜ起こる?上腕骨近位骨端線に集中する「ねじれ力」の正体
こんにちは。
今回は成長期に発生するリトルリーグ肩(上腕骨近位骨端線離開)についてバイオメカニクス的な要因と医学的な病態の両面から詳しく解説します。
バイオメカニクス的な要因 (投球動作による力学的ストレス)
リトルリーグ肩は、成長期の選手に特有の障害であり、投球動作によって肩の骨端線(成長板)に過度な力が繰り返しかかることが原因です。

1. 投球動作による過度な「ねじれ力(回旋トルク)」と「引っ張り力(牽引力)」
投球動作は、肩関節に非常に大きな負荷をかけます。特に以下のフェーズで、未熟な骨端線に強いストレスがかかります。
| 投球フェーズ | 力の発生メカニズム | 骨端線への影響 |
| 後期コッキング期 | 肩が最大外旋位(後ろに大きく引かれた状態)になる際、 骨端線に極度の回旋トルク(ねじれ力)が発生します。 |
脆弱な骨端線に剪断力が加わり、微細な損傷を引き起こします。 |
| 加速期 | 肩が急激に外旋から内旋へ移行する際、大きな回旋力が持続的に加わります。 | 骨端線に繰り返しのねじれストレスが集中します。 |
| フォロースルー期 | ボールリリース後、腕を減速させるために、遠心力や筋の遠心性収縮による強い牽引力(引っ張り力)が骨端線にかかります。 | 骨端線が遠位(体から遠い側)に引っ張られるストレスを受けます。 |
これらのねじれ力と引っ張り力の繰り返し(オーバーユース)が、骨端線への微小外傷となり、最終的に離開(ひらき)を引き起こします。
不良な投球フォームと体の柔軟性

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体幹・下半身の連動不足(手投げ)
股関節や体幹の柔軟性が低下していると、その分の負担を肩関節や肘関節で代償しようとします。
その結果、「手投げ」のようなフォームになり、肩に集中する負荷がさらに増大します。 -
投球数の制限無視
年齢や体の発達を無視した過度な投球数や、十分な休養日がない状態での連投は、骨端線の回復を妨げ、損傷を進行させます。
小学生 (学童)1日70球以内/1週間210球以内
4年生以下は1日60球/1週180球
中学生 (軟式)1日100球以内/1週間350球以内
全日本軟式野球連盟(JSBB)ルール中学生 (硬式)1日80球以内/1週間120球以内(連日)ボーイズリーグ等の代表例
高校生制限なし1日(推奨100球)/1週間500球以内/高野連が正式規則
医学的な病態(解剖学的・病理学的観点)
リトルリーグ肩の医学的な正体は、上腕骨近位骨端線離開という傷害です。
・骨端線の脆弱性
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成長期の特異性
骨端線(成長板)は、成長期の子供の長骨(上腕骨など)の端にある軟骨組織です。
骨端線は、まだ硬い骨になっていないため、その周辺の靭帯や腱、成熟した骨組織に比べて力学的強度が最も弱い部分です。
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・力が集中
投球動作による強い回旋力や牽引力が加わると、他の組織よりも先にこの弱い骨端線にストレスが集中し、損傷が生じます。
・病態の分類
リトルリーグ肩は、骨端線損傷の分類であるSalter-Harris(サルター・ハリス)分類のI型に相当する疲労骨折の一種と考えられています。
Salter-Harris分類
| タイプ | 特徴 (SALTR) | 状態の解説 | 予後 |
| Type I | Slip (離れる) | 骨端線に沿ってズレた状態。レントゲンで分かりにくいことも。 | 良好 |
| Type II | Above (上へ) | 骨端線に沿って折れ、さらに骨幹側(上側)へ突き抜けたもの。最も多い。 | 良好 |
| Type III | Lower (下へ) | 骨端線に沿って折れ、さらに関節面(下側)へ突き抜けたもの。 | 注意が必要 |
| Type IV | Through (貫く) | 骨端・骨端線・骨幹をすべて垂直に貫通したもの。 | 手術が必要なことが多い |
| Type V | Ram (押し潰す) | 骨端線が垂直方向に強い力で圧縮(クラッシュ)されたもの。 | 成長障害のリスクが高い |
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病態
投球動作の繰り返しにより、上腕骨の近位端(肩に近い部分)にある骨端線が、正常な位置から横方向にずれたり(離開)、開大(ひらき)したりします。
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画像所見
レントゲンを撮ると、通常は線状に見える骨端線が、健側(痛みのない側の肩)と比較して幅広く開いている所見が確認されます。
・進行とリスク
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症状
初期は投球時のみの鈍い痛みですが、進行すると日常生活の動作や安静時にも痛みが現れ、投球速度やコントロールが低下します。
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未治療のリスク
放置して投球を続けると、骨端線が早く閉鎖してしまう早期骨端線閉鎖や、より重度の骨折(Salter-Harris分類のⅣ型、Ⅴ型など)、また肩関節周辺の腱板や関節唇といった軟部組織の損傷を併発するリスクが高まります。
まとめ
リトルリーグ肩は、「成長期の未熟で弱い骨端線」に、「投球動作による繰り返しの過度な回旋力・牽引力」(特にオーバーユースやフォーム不良)が加わることで発症する、代表的なオーバーユース(使い過ぎ)症候群の一つです。
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